長いです。ビッグマックが食べたい現

長いです。

ビッグマックが食べたい

現状維持の法則という言葉がある。

インターネットで検索すれば山ほどアフィリエイトサイトや啓発サイトがヒットするが、れっきとした心理学用語らしい。

人の意思選択というものは結構あやふやで、いろいろな要因が選択するという行動や意思に影響を与えている。

蒙昧な民に簡単に説明すると、現状維持の法則とは、複数の選択肢の中からいつも同じものをついつい選んでしまうアレのことである。

何となく分かると思うが、アレが起こるのは他の選択肢を選ぶことによる失敗を避けたいという心理が働くからだ。現状維持バイアスとも言い、つい選んでしまう選択肢には何かと有利な理由づけがなされることも知られている。

最近、マクドナルドに行く回数が増えている。例年に比べて今年は絶対増えている。

大体は大学の帰りに地元の駅にあるマクドナルドに行くのだが、その理由は毎回決まっていて、ビッグマックが食べたいからである。例年よりも多くマクドナルドに行っているのに、今年はまだ一回も食べていない。ビッグマックを食べたいから行くのに食べないから行く回数が増えている。

じゃあ食えよ、と皆さんは思うかもしれない。

では僕は、ちょお待ってぇな、と言いたい。

なぜなら、ビッグマックを食べたくても食べられないワケがあるからだ。

あれは今年の春のこと、マクドナルドに超新星とも言うべき8年ぶりのレギュラーメニューが加わった。ご存知、グランシリーズである。

最初は僕も軽い気持ちだった。今思えば危険なギャンブルだったのかもしれない。ある日、たまたまサッと昼食を摂らなければならなかったときに、ふとマクドナルドに寄ったところ、店内にはデカデカと新作グランシリーズのポスターが貼ってあった。テレビCMでもやっていたから既に知っていて、普段なら絶対と言っていいほどビッグマックを注文するところを、ほんの少しの遊び心でクーポンもあったしグランベーコンチーズを注文した。これが全ての始まりである。

マクドナルドには珍しいしっとりふわふわなバンズに挟まれた2種類のチーズ、肉厚なパティ、パリっと焼かれたベーコン、そしてアクセントとなるオニオン。脳天を衝く美味さだった。まさか、マクドナルドで感動することがあるとは。

以来、僕はすっかりコイツの虜になってしまった。それまで不動のキングであったビッグマックをあっさりと蹴落とし、その王座に居座りついたのである。まさに革命的。

そう、かつての僕の現状は既に失われ、今ある現状はこの春にできたものなのだ。

しかし、一つ誤解しないでいただきたいのは、マクドナルドに行く回数が増えたのは、何もこのグランにどハマりしたからではない。あくまでもビッグマックが食べたいからなのである。と言うのも、これまで長い間長おさであったビッグマックは、若い衆にいきなり転覆させられたわけであるから、それはもう黙っていられるはずもない。未だに僕の記憶の中で、儂はまだ闘える、闘いたいのじゃと、老兵はそのポテンシャルをチラつかせるのである。

だから僕はマクドナルドに行く。今日こそはビッグマックを注文するんだ、そう決意して。

店の前に着く。クーポンがないかスマホをチェックする。あとは注文するだけだ。

順番を待つ。一人、二人。そして時は来た。

ご注文は?

グランベーコンチーズで

全く、人の意思選択なんて曖昧なものだ。